内科の求人がなかなか決まらなかったわけ
ぼくの母は70歳間近ですが、つい昨年まであるクリニックで病院事務の仕事をしていました。小さなクリニックなので、受付から処置の手伝いからカルテの整理から、なんでもやっていました。ただ、法律できちんと決まっているので、事務の人だけでなく、資格を持った看護師さんがいます。おもに内科と形成外科をやっているクリニックで、それぞれに看護師さんがいたのが、母が定年する一年ほど前に、内科のほうをおもに担当していた看護師さんが退職してしまい、その穴を埋めるために内科の求人を募集しました。
経験のある看護師さんならどなたでも、という条件だったので、ごくせまい範囲で募集しただけで、すぐに応募が来ました。内科の求人なら、看護師資格を持っている人にとっては、高い敷居ではありません。予想外に若い看護師経験者の人が多く、結婚や子育てで現場をはなれたものの、まだ離職して数年しかたっておらず、すぐにでも即戦力になれそうな人が何人かいました。あっさり決まると母は思っていたら、クリニックの院長先生が面接すると、どの人も応募を取りやめてしまい、なかなか決まりません。
母は院長先生とは長い付き合いなので、なにを話しているのか聞いてみました。院長先生は、母と同年代。じつはあと2年ほどで自分も引退することに決めており、クリニックも閉めてしまうのだとか。そのため、あたらしい看護師さんには期間限定で来て欲しいといっていたんです。内科を求人している病院はほかにも多く、短い期間しか働けないのでは、若い人は考えてしまうでしょう。それで、決まらなかったのでした。正直なのが院長先生のいいところではあり、医者の仕事にも向いた性格で、いまさら変えられないから仕方ないでしょうねと、母は笑っていました。その後、見た目がすっかりおばあちゃんの60代の看護師さんが決まったそうです。
